脂質のこと

今日は日本オイル美容協会のオイルソムリエさん向けに、ブラッシュアップ講座をしました。

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『体内脂質の代謝と働き』

・必須脂肪酸の代謝とエイコサノイドと薬
・オメガ3系脂肪酸と心血管系疾患
・生体を制御する脂質の解明

ステロイド薬や非ステロイド系鎮痛薬(バファリン、エスタックイブ、ロキソニンなど)の多くは、オメガ6系のアラキドン酸からの代謝物の生成を抑えることで症状を抑えている。

一方で、拮抗するオメガ3系のエイコサペンタエン酸(EPA)はEPA製剤という心血管疾患や動脈硬化症の処方薬になっているし、その他炎症を伴う様々な疾患を改善させる成分として知られている。

薬の作用機序を知ると、いかに脂肪酸の代謝物質が全身に影響を与える重要な物質なのかがわかる。

脂質は複雑、且つ、遺伝子にコードされないから、代謝や生理機能が分かりにくく、タンパク質や糖質などよりも研究が遅れている。

でも近年の解析機器の進化に伴い、驚くほど進歩してきている。

その一つが、EPAによる心臓保護やアレルギー抑制の機序の解明。

以前はエイコサノイドによるものだと考えられていたのが、次にEPAから「レゾルビン」という抗炎症物質が作られてることが見つかって、数年前には「18-HEPE」という、ほとんど注目されていなかったEPAの代謝物が心筋の繊維化を防いで心臓を保護していることが解明された。

これからもこうやって脂質(特にオメガ3系脂肪酸)代謝物の同定と機序の解明がされていくだろう。

そして、その後で代謝酵素の同定、創薬という流れになる。
それが薬となって世に出るのはずっとずっと先のこと。

でもその前に、食べる脂質を変えることで、体の中のEPAとアラキドン酸のバランスを整えることは出来る。
むしろ、体内で作れないものだから、食事の影響がダイレクトに出る。

「油を変えると60種類以上の病気が治る」
と言われるけど、恐らく実際はそれ以上。

脂質の重要性を伝えることは、きっと誰かのためになる。
そう感じたから、私は今脂質栄養学を学び伝えているし、オイルソムリエという資格をとった皆さんもとても大きな役割がある。

というお話をしました。

あとは、
植物がなぜ種に脂質を蓄えるか
人を含め動物が種を食べるとはどういうことか
そこを知れば、1日の必要量は感覚でわかるはず。

という話も。

話してて、私は脂質好きだなぁと再確認しました。
脂質を通して自然や植物との繋がりが見えるし、体の中の神秘に気づく。
神様の完璧な創造に感謝がわいてくる。
自分のからだを愛おしく思う。

その愛おしさは自分自身も満たし、自然界や他者との調和の心地よさを教えてくれる。

いろんな宗教があるけど、これこそが一番の信仰と感じる。



来世は…
脂質研究者になりたいです(笑)